合併症対策室

日本透析医学会の調査によると、脳血管障害による死亡率は、12%前後であり、死亡原因の第3位です。透析を受けている方の脳卒中を起こす危険度は一般の人の5.2倍で、とくに脳出血の危険が高いことが報告されています。また糖尿病性腎症や高齢者の方では、無症状のうちにいくつもの脳の血管がつまっていることがあります。
血圧のコントロールは非常に重要であり、特に透析の前後、家庭での血圧を把握し適切な血圧コントロールを行なっていただくために、24時間血圧計にて検査を行っています。
脳血管障害の予防と早期発見のためには、定期的に頸動脈エコー、頭部CT、MRIなどの検査を行うことが有効です。

頚動脈エコー検査

超音波を頚動脈(首の血管)に当てて、動脈硬化によって血管の壁が厚くなっていないか、血液の流れが悪くなっていないかなどを調べます。血管が狭窄(細くなる)あるいはつまってしまうと、脳梗塞の原因になる病気ですので、その予防や治療の際にとても有効な情報となります。また全身の動脈硬化の早期発見にも有効な検査法です。

頸動脈エコー検査

超音波を頚動脈(首の血管)に当てて、動脈硬化によって血管の壁が厚くなっていないか、血液の流れが悪くなっていないかなどを調べます。血管が狭窄(細くなる)あるいはつまってしまうと、脳梗塞の原因になる病気ですので、その予防や治療の際にとても有効な情報となります。また全身の動脈硬化の早期発見にも有効な検査法です。
わたしたちが頚動脈壁(首の血管の壁)の厚さを調べたところ、脳梗塞の既往のない透析患者様でも、一般の脳梗塞患者よりも血管の壁が厚くなっていることがわかりました。(図11)。

(図11) 頸動脈の血管の壁の厚さ

頭部CT検査、頭部MRI、MRA検査

頭部CT検査とはX線を用いて、また頭部MRI・MRA検査とは磁石の力を利用して頭部の断面画像や頭部の血管を描出する検査です。両検査とも脳血管障害(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血など)の場所や傷害範囲の診断に有効な検査です。疾患の発症時期や疾患の微少な組織変化観察など診断目的により、どちらの検査を行うかの選択をします。例えば、くも膜下出血の原因となる動脈瘤を発見するにはMRA検査が有効ですが、くも膜下出血を発症しその診断にはCT検査が検査時間も短く有効となります。