合併症対策室

維持透析をうけておられる方の、C型肝炎ウイルスに感染した割合は約13%で、一般の人が1.3%との報告からすると約10倍です。そのうち慢性の経過をたどる方が90%以上です。また肝硬変や肝がんを合併する割合は、健常人の5~7倍といわれています。
また、当グループの調べによると一般患者の方に比べ透析をうけている方では、膵臓に水分を貯めた袋状のものができる膵のう胞性疾患が非常に多く、一般の人の約70倍から150倍ということが判明しております。膵のう胞性病変は癌化するおそれもあり経過観察が重要といえます。

偕行会グループの肝胆膵腎領域疾患の診断

検査

腹部超音波やCT検査で、肝硬変・肝がん・腎臓がんの早期発見や、腎のう胞(ぶどうの房のような状態)の大きさや出血の有無などを、定期的な検査で追跡することが大切です。

検査 - 腹部超音波検査

腹部超音波検査とは人間の耳には聞こえない高い周波数の音波(超音波)を利用して、身体の臓器の画像を描出する検査です。検査時には痛みもなく、結果もすぐにわかることから体への負担が少ない検査です。
超音波検査では、腫瘍などの有無だけでなく、その大きさや深達度(どのくらいの深さまで達しているか)も調べることができます。また、C型肝炎ウィルスが原因となっている慢性肝炎は、肝硬変や肝臓癌に移行する確率が高いので、定期的な検査で早期の変化をとらえるために超音波検査が有効です。

肝臓癌の超音波画像

検査 - 腹部CT検査

腹部CT検査とは身体の周りを回転しながらX線照射を行い、コンピュータ処理によって鮮明な身体の断面画像を描出する検査です。肝臓や胆嚢、膵臓など内視鏡で観察できない腹部臓器の病変を診断する際に有効です。検査方法には、造影剤を使わない単純CT撮影と造影剤を使う造影CT撮影があり、後者ではより明らかに判定できます。

腎臓癌のCT画像

検査 - MRI検査

MRI検査は強力な磁石でできた筒の中に入り、磁気の力を利用して体の臓器や血管を撮影する検査です。体の縦横あらゆる方向の・角度からの臓器の断面画像が得られ、放射線被曝が無い点でCT検査よりも優れています。

MRI装置