合併症対策室

脊椎疾患にはどのようなものがあるのでしょうか。多くの疾患がありますが、2つの疾患についてご留意ください。ひとつは頚椎症性脊髄症、もうひとつは腰部脊柱管狭窄症です。ともに脊椎(背骨)の中を通る神経(脊髄・馬尾神経)が圧迫を受け四肢体幹の痛みやしびれ、麻痺を起こすものです。これら疾患は、軽症であれば装具療法などで対応可能ですが、麻痺が重度となると手術治療が必要になります。手術は適切な時期に受ける必要があり、これを逃すと症状の改善は得られず生活上に大きな問題を残します。よって、早期発見と継続評価を行うことが大切です。
しかし透析患者さまにおかれましては、四肢の血流傷害や末梢神経障害、脳梗塞などの種々の疾患を合併し脊椎疾患の発見が困難だったり、肺炎や心筋梗塞、狭心症などの他の治療を要し来院が不定期となり継続評価ができず治療の時期が遅れる場合があります。よって、ここでは私が日頃患者さまに質問しますいくつかの項目を示しますので早期発見・自己診断評価の参考とされてください。

以上、いくつかの質問を記しました。気になることがありましたら、担当透析医と相談願います。レントゲン・MRI検査や神経伝導速度試験(筋電図)、血管血流評価など適切な検査を実施し脊椎疾患のスクリーニングを行います。もし、脊椎疾患がみつかっても心配なさらないでください。適切な装具療法によって長期的な安定病状に持ち込めることがほとんどです。
脊椎疾患は、箸やフォークによって独力で摂食する、着替えをする、歩く、座る、起き上がるといった生活の基本動作に影響を及ぼします。特に透析患者さまにおかれましては、この基本動作を維持することが、自宅での生活と透析通院を可能とするために大切です。早期の発見と治療で、生活の質を保つようにしましょう。

手術により神経の圧迫が取れた状態

透析患者:頚椎手術前後の比較