合併症対策室

糖尿病が原因や高齢で透析導入となる方が年々増え続け、それに伴い透析を受けておわれる方の眼科疾患も増えています。

高眼圧症と緑内障

透析中に眼圧(眼の圧)が上昇する症例が報告されています。眼圧が上昇すると緑内障になる可能性が大きくなります。緑内障は、視野(みえる範囲)が狭くなる疾患です。初期および中期には自覚症状はほとんどありません。放置すると、失明する可能性があります。眼圧検査と視神経乳頭をみる眼底検査・視野検査が早期発見に効果的です。

<治療> ほとんどの方は、眼圧を下げる点眼で治療が可能です。一部の人ではレーザー治療や手術治療が必要となります。レーザー治療は日帰りで行えます。

網膜静脈閉塞症

主に動脈硬化により発症します。眼の中の静脈が閉塞し眼内に出血します。突然、物が見にくくなる中心静脈閉塞症と、あまり自覚症状のない分枝閉塞症の二つのタイプに分類されます。どちらも放置すれば失明する可能性があります。眼底検査を行えば簡単に診断がつきます。

<治療> 網膜にレーザー(網膜光凝固術)を行う治療が有効です。また、手術を行う場合もあります。この治療により失明の予防を行います。

糖尿病網膜症

透析の原因が糖尿病の場合は、ほぼ100%の方に眼に異常がみられます。初期には網膜上に点状の出血などが観察され、進行すると綿花様白斑が出現します。放置すると眼内に出血(硝子体出血)を起こしほとんど何も見えなくなり、さらに網膜剥離が起こり完全に失明する場合があります。自覚的によく見えている人でも、この網膜症は進行しています。よく見えている時期に治療をすることが大切です。定期的な眼科受診が必要です。

<治療> 網膜光凝固術を行います。数回この治療を行わなければなりません。硝子体出血がある場合などは手術が必要となります。